スモールグループトレーニングの構想

フィットネスジム経営者向け

スモールグループトレーニングの構想

American College of Sports Medicine(ACSM)の『Health & Fitness Journal®(ヘルス&フィットネスジャーナル)』誌11/12月号に掲載されたACSMが選ぶ「Worldwide Survey of Fitness Trends for 2018」(英語版)において、グループパーソナルトレーニングが2018年フィットネストレンドトップ20の13位にラインクインしました。スモールグループトレーニング(SGT)またはグループパーソナルトレーニングがACSMのフィットネストレンドトップ20として初めて認識されたのは、2007年です。それ以降SGTは、世界中の調査でトレンドトップ20にランクインを続けています。

インストラクター主導で参加者2~8人のグループワークアウトを中心としたスモールグループトレーニングはトレンドとして成熟しており、ハイエンドなクラブ、ミッドマーケットの施設、レクリエーションセンター、ブティックスタジオなどのプログラムに欠かせない存在となっています。Club Intelの「2017 International Fitness Industry Trend Report」(英語版)によると、プロダクトサービスセクターにおけるスモールグループトレーニングの導入率は38%以上、4年間の平均増加率は8%に達しています。

社会や業界のトレンドを踏まえ新しいプログラムを開発する事はクラブ経営者やフィットネスリーダーにとってビジネスや将来の成功をつかむ為には必須です。トレンドは動向として認識することが重要で勢いのある一連の出来事から進化します。トレンドは出現後に進化と変化を続け、時間とともに成長し成熟します。

スモールグループトレーニングは今後、どのように進化しながらトレンドであり続け、メンバーとエクササイズ愛好家の要望に応え続けるのでしょうか。 需要をつかみ成功を続けたい施設、レクリエーションセンター、ブティック経営者とオーナーは、影響をもたらす社会・ビジネストレンドに注目して、SGTプログラムの将来像を描くことができます。

この記事ではスモールグループトレーニングに潜在的な影響を与える特性、つまりパーソナルトレーニング、グループフィットネスクラス、新興のシニアフィットネスマーケット、ウェアラブルテクノロジーを加速させる要因を分析します。スモールグループトレーニングに組み込むべきトレンド、各種のプログラムモデル、どのようなプログラムの作成・実施が参加者を巻き込み、施設としての革新を続ける方法についてご説明します。

影響を及ぼすフィットネストレンド - スモールグループトレーニングに対する潜在的影響

現在のフィットネスクラブとフィットネス施設は競合優位性を維持し、ブティックスタジオを成長させている要素を最大限模倣しようと創造性を発揮し創意工夫を重ねています。提供するメンバー体験、フィットネスプログラム、メンバーサービスの方向性を見失わないために、施設所有者と経営者が業界のトレンドに注目し続けるのは、もはや珍しいことではありません。

グループおよびパーソナルトレーニングプログラムを提供するフィットネスクラブとフィットネス施設は、フィットネス界の各種トレンドを取り入れて収益を増大させる存在です。そのため、スモールグループトレーニングの開発、デザイン、提供における責任者、プログラムマネージャー、トレーナーは、ブティックスタジオの個別化による差別化とコミュニティ体験や、パーソナルトレーニングにおいて提供されるフィットネス学習機会、パフォーマンスに基づくフットネス技術データの強化など、影響を及ぼすさまざまな重要特性を複合的に取り入れる必要があります。

スモールグループトレーニングを次のレベルへ

スモールグループトレーニングがフィットネスクラブの所有者、フィットネスプロフェッショナル、利用者に高い利点をもたらすことはよく知られています。これは真のウィンウィンの関係です。利用者は、パーソナルトレーニングよりも手頃な価格で、才能とやる気に満ちたフィットネストレーナーから個別にカスタマイズされたトレーニングを受けることができます。フィットネスプロフェッショナルは、個人収入、信用性、評価を効率的に伸ばすことができます。クラブや施設所有者は、維持率と関与を向上させることができます。Club Intelの「11 Prognostications for the Fitness Industry in 2018」(英語版)では、SGTを次のレベルに引きあげる戦略に影響を及ぼす2つの動向について示唆しています。1つは親しい人々と体験を共にしたいという願望に応えたソーシャルフィットネスです。これが顕著なのはミレニアル世代です。連携と集団意識を重んじ、個人がフィットネスに関与したいというスタイルを形成している人々です。2つめは、施設経営者が売り上げのみに注力するスタイルをメンバーにサービスを提供する方向へ変化させたことです。メンバーとの関わりとロイヤリティの収益化をめざし、メンバーの関与、関係の構築、忠誠心の育成に力を入れるようになりました。

業績に満足し、これまでメンバーに提供してきた体験に甘んじてはいられません。需要の波に遅れず革新と競合優位性を保つためには、ローカルレベル、国レベル、世界レベルのマーケットトレンドの把握を怠らないことが必要不可欠です。

スモールグループトレーニングプログラムを活気づける4つのトレンド

1. ブティッククラブのパワーの活用
影響を及ぼす ブティックスタジオ の特性を組み込み、スモールグループトレーニング体験を活性化させます。ブティックはいくつかの点で正しいことをしています。その1つは、顧客中心の考え方と結果に基づくトレーニングです。ブティックのメンバーは個別化された存在としての待遇をクラブから受けます。スモールグループプログラムがクライアントに対する義務を果たしていることを実証するようにしてください。クライアントのフィットネス目標を把握してください。クライアントと密接に連携し、クライアントが健康とフィットネスのために努力していることをクラブ側が認識していると、必ずクライアントが感じられるようにしてください。

ブティックはコミュニティ、つまり仲間を形成します。スモールグループトレーニングプログラムの構想では、親密なチーム環境を作りましょう。参加者たちにサポート意識とコミュニティ意識を築いてください。グループの種類、年齢、活動関心領域など、共通点に目を向けて検討してください。

フォーマットを2~3種類に絞ってください。一般的なトレーニングフォーマットは、ランニング、強化トレーニング、ヨガ、ブートキャンプスタイル、減量などスポーツ特化型です。ユニークなフォーマットで提供するため、ケトルベル、ボクシング、ピラティスなど、フィットネストレーナーが所有していそうな特別な資格について考えてみてください。

2. 新興マーケットへの適応
ミレニアル世代のマーケットを取り込むのは魅力ですが、あらゆる「未来志向」デザインのスモールグループトレーニングプログラムは、アクティブなシニア世代マーケットに重点を置いたフォーマットを含む必要があります。Ray Algarの「Health Club Industry Active Ageing Report(ヘルスクラブ業界のアクティブなシニア世代報告書)(英語版)」は、世界的な高齢化について、それにフィットネス業界がどのように対応すべきかについて掘り下げています。いま誕生しつつある長寿経済では、これまでよりはるかに長く人生を楽しむための製品やサービスが提供され、高齢者の生活を変えるような、テクノロジーが実現する身体的活動が含まれるという趣旨の内容です。

高齢化を迎えたベビーブーム世代のフィットネスクラブメンバーが急増していますが、これはもっとも経済的に豊かな世代です。2020年には世界の60歳以上の人口が10億人を突破します。これは7人に1人の割合です。2050年には、世界の65歳以上の人口が14歳以下の若年層を初めて上回ります。

Algarの報告書によると、医療の進化と生活水準の向上により平均余命が上昇しているだけでなく、母集団が65歳以上に到達するペースが速まっています。100年前、60歳は老人とみなされていましたが、現在の60歳は中年だと指摘する声もあります。「60歳はかつての40歳だ」とも言い換えられるかもしれません。

上記の2つを考慮すると、長い人生を楽しみ健康寿命を伸ばしたいと願う人は増えていきます。需要から逸れず革新的であり続けたいフィットネスクラブやフィットネス施設、スタジオは、この新興マーケットをターゲットとするスモールグループトレーニングフォーマットを創出するでしょう。

3. 新たなSGT体験の創出のため、モチベーションを高める高品質なトレーニングを提供

パーソナルトレーニングは、多くの場合教育的体験の場となります。パーソナルフィットネストレーナーは、フィットネス生理学と生涯フィットネスを個人で維持する最善の方法をクライアントが理解できるようにサポートします。パーソナルトレーニングのプロフェッショナルは、挫折なしに参加者を長期目標に到達させるため、各個人の心構えと動作のクオリティを見極める上でより高度な技能を求められます。

トレーニングプログラムカリキュラムの対極に位置するグループフィットネスクラスは、意欲の高いインストラクターの元で高強度のワークアウト体験をしたい、志を同じくした個人がつながる場です。以前から行われてきたグループトレーニングですが、ACSMのフィットネストレンドトップ20にランクインしたのは、2017年の6位が初めてです。2018年には2位まで上昇し、高強度インターバルトレーニングの次にランクインしました。人気上昇の理由ははっきりしませんが、グループトレーニング体験に革命を起こしたブティックスタジオの台頭が関与していることは、容易に察しがつきます。

施設経営者とグループフィットネスディレクターは、スモールグループトレーニング体験の提供を促すため、対極にあるパーソナルトレーニングとグループトレーニングの最適なバランスに注意する必要があります。両方の成功要因を混ぜ合わせるという視点から、貴施設のスモールグループトレーニングプログラムの見直しを検討してみてください。パーソナルトレーニングは高品質の教育体験をもたらし、グループフィットネスクラスは、楽しく活気があり、高度に双方向的なコミュニティを形成するという特徴があります。

4. ウェアラブルフィットネステクノロジーの活用

2017年、ウェアラブルテクノロジーがACSMの「Worldwide Survey of Fitness Trends」のトップに入り、その後もグループフィットネスに変化をもたらす主たる要因の地位を譲らず、Orangetheory® Fitnessスタジオは世界規模に広がりました。室内サイクリングもまた、Spivi®といった企業やPerformance IQトラッキング、ライダーのパフォーマンスデータの表示などでトレンドの一端を担っています。MyZone™、Heart Zones®、およびFitmetrixなどの企業は、施設にグループフィットネステクノロジーソリューション一式を提供しています。メンバーはワークアウト中の強度をトラッキングするため、心拍センサーを装着したりスマートウォッチを使用することに慣れつつあります。

ウェアラブルフィットネステクノロジー使用に関する研究では、利用者のウェアラブルデバイスの使用と、利用者の関与および意欲に関わるデータ解釈の相関性が示されています。インディアナ大学の研究によると、アクティビティトラッカーとトレーナーの両方が10週間トレーニングで有用だったと回答した参加者は90%に達したものの、目標を追い続ける上で役立ったのはこの2つの組み合わせでした。また、ピッツバーグ大学でウェアラブルデバイスが減量に長期的に及ぼす影響を研究した結果、デバイスだけを提供してエクササイズのノルマを達成するよう指示して参加者を無作為で2グループに分けても、ウェアラブルデバイスを支給された組と支給されなかった組で顕著な違いは見られませんでした。

上記2つの研究結果が示しているのは、ウェアラブルデバイスをグループトレーニングに取り入れるときは、フィットネストレーナーと教育の両方が重要である点です。このつながりを促すため、フィットネストレーナーは、参加者情報を解釈する方法、各データの意味や望ましい結果を得るために、そのデータをワークアウトで活用するコツを参加者に説明する方法を身につける必要があります。

スモールグループトレーニングプログラムにウェアラブルフィットネステクノロジーを導入し、データ解釈と個人化されたワークアウトの処方によりメンバーに利益をもたらせば、施設収益とメンバー維持率の改善、新しいレベルのスモールグループトレーニング体験の提供につながります。

スモールグループトレーニングプログラムの構築

スモールグループトレーニングを正しく構築するモデルは、1つではありません。複数のメンバーグループ、施設の種類、立地に対して、各種モデルと2~3種類のフォーマットがあるとベターかもしれません。メンバーを理解し、貴施設の立地の動態を把握してください。パーソナルフィットネスプログラムにどのように参加するかメンバーに選択肢を提供すれば、メンバーの関与とエクササイズを維持しながら施設へ足を運んでもらうことにつながります。

スモールグループトレーニングのプログラム構造は、フィットネストレーニングの目的、フォーマット、種類に応じて変化します。SGTは2~4人で構成されますが、グループトレーニングは5~30人が集まります。スモールグループトレーニングプログラムは、3つの一般的領域、すなわち設備ベース、テクニックまたは技能ベース、結果ベースを中心とします。

  • 設備ベースのスモールグループトレーニングは、ケトルベルやサスペンショントレーニングデバイスなど、特定のスタイルのエクササイズや設備を好む参加者に向いています。
  • テクニックまたは技能ベースのスモールグループトレーニングでは、マラソンやCrossFit®チャンピオンシップ、トライアスロンなど、個人がアクティビティまたはスポーツの準備できる狙いを定めたアプローチが可能です。
  • 結果ベースのスモールグループトレーニングは一般的に、減量を第一の目的とする特定の身体的結果や変化をプログラムに求めるクライアント向けです。

グループパーソナルトレーニングは往々にして、8~10週間または季節ごとなど、一定の期間内に進捗するワークアウト構造を中心にモデル化されます。おおよそのスタジオ、施設、プレミアクラブの85%が、パーソナルグループ・トレーニングプログラムを進捗型モデルのみに絞っています。ですが、スモールグループトレーニングは、グループフィットネスクラスに類似した構造にして、無期限ベースで提供される無制限のスモールグループトレーニングセッションや月ごとに回数を定めたスモールグループトレーニングセッションにすることもできます。

進行型の「ドロップイン」モデルと進捗型のモデルの両方を提供することで、進捗型のスモールグループトレーニングプログラムに参加するメンバーがセッション1回または2回を「ドロップイン」のスケジュール型トレーニングにできる柔軟性が生まれます。さらにこの手段は、最終的に進捗型スモールグループトレーニングに登録する可能性のある参加者を徐々にスモールグループトレーニングへ引き込む良い方法です。

クラブ最高の資産:プロフェッショナルフィットネストレーナー

クラブが選ぶスモールグループトレーニングプログラムの方向性を問わず、最終的な成功は、トレーナーのプロ意識と専門知識にかかっていると肝に銘じることが重要です。フィットネス業界では、教育を受けたプロ意識の高いスタッフを採用することの重要性が増しています。こうしたフィットネスプロフェッショナルは、質の高いメンバー体験を届ける上で重要な繋ぎ役となり、メンバー維持に必要不可欠な役割を果たします。

フィットネストレーナーは、貴施設の外の世界に向けた表現者です。スモールグループトレーニングでは、グループ内または一対一でクライアントと向き合うフィットネストレーナーのプロ意識と教育に対する要求が、グループエクササイズクラスのインストラクターよりも高くなりつつあります。施設経営者と所有者は、 interviewing, onboarding, and training for better hiring and retention(よりよい雇用と維持のための面接、定着、トレーニング)(英語) のシステムを評価する必要があります。

フィットネストレーナーは、共有される体験の中心にいる存在です。生まれながらの「リーダー気質」であり、スモールグループ環境内でコミュニティを作り上げる能力を備えていなければなりません。各人にとって個別の体験にするだけでなく、意欲と人間性を刺激してグループをまとめあげることもできる人物です。フィットネストレーナーは、ブティックの成功事例をスモールグループトレーニングプログラムに活用する上で、施設最高の資産です。

ウェアラブルフィットネステクノロジーを習得する

ウェアラブルデバイスは、クライアントが求める質の高い専門性をスモールグループトレーニングプログラムに簡単に取り入れることができ、フィットネストレーナーをサポートします。例えば、SGT参加者に心拍センサーを使用すると、フィットネストレーナーは個人のメカニズム、神経、新陳代謝、心理的システムの機能状態をリアルタイムで測定できます。データを集めて解釈すれば、各クライアントのベースライン、ストレス負荷、機能状態に基づいて推奨事項をまとめることができます。ウェアラブルグループフィットネスでのテクノロジーの使用は、スモールグループトレーニング体験を向上させます。エネルギーと意欲に満ちたグループエクササイズにおいて、質の高い教育体験とパーソナルトレーニングと同程度の個別化レベルを提供する能力をフィットネストレーナーに授けます。

需要に遅れず革新的かつ競合優位性を維持したスモールグループトレーニング

フィットネス業界を人体に例えてみましょう。人体は複雑です。人体の重要な筋組織である心臓は、新陳代謝系の情報網を絶えず調整しています。消化、温度調節、ストレス、強い恐怖、身体的強度など生理的機能への適応および管理のため、せわしなく動いています。

フィットネスビジネスもまた、メンバーの需要に対応し、マーケットでの競合優位性を維持するため、同じように調査、解釈、反応することが求められます。フィットネスライフスタイル体験を届ける上で革新を起こすためには、業界、社会、地理レベルで起きている重要な動きを認識することが欠かせません。さらには、スモールグループトレーニングの構想では、成長可能性とマーケットでのポジショニングを検討することが必要不可欠です。